鉛化合物系
塩基性炭酸鉛 2PbCO3・Pb(OH)2
一般に炭酸鉛70%、水酸化鉛30%の割合で含有する。
最初に作られた人工顔料で紀元前4世紀ごろと言われている。
古く古代ギリシャ、中性での製法は金属鉛と酢(醋酸)を作用させて作られた。今日ではオランダ法(スタックー積み上げ法)、短時日でできるドイツ法、電解法、沈殿法で作られている。
吸油量9〜12%。酸に反応性をもつ。特に油との関係は良い効果を持つ。アルカリ性に弱いのでフレスコ画には使えない。
重質顔料。青味の白色。被覆力、着色力、耐久性は大きい。有害であるため、特に粉末状の時は注意を要する。(致死量25〜50g。体内に沈殿して中毒を起こす。)
油を入れた鉛白が大変堅牢、均質、強固な塗膜、非孔質な塗膜、固着力大、時と共に透明さが出てくる。これは鉛白中の水酸化鉛(Pb(OH)2)が亜麻仁油と鹸化作用を起こし、鉛石鹸(リノール酸鉛)を作るため。
油の乾燥を促進させる作用、鉛白中の炭酸鉛の作用で脱色作用もあると言われている。暗いところで黄色味が出た場合、明るいところで元に戻る。
油絵の具中、最も優れた物である。
混色は特に、硫化水素(硫黄分、硫化物系)により変色(黒変)をおこすため、硫化物系・・・特にヴァーミリオン、カドミウム系、ウルトラマリン系・・・には注意が必要。
この混色については、或研究者は、顔料粒子は油・樹脂分に包まれているため、直接他の顔料粒子との接触が緩慢となり、変色の影響が出にくい・・・と主張する例もある。
マダー類の紅色を吸収する特性を持つので、注意が必要。
古くより、グラウンド材として伝統的に使われている。またテンペラ、水彩画としても用いられていたようだが、油性媒剤ほど良い効果が出ないと言われている。
鉛白を加熱処理すると、黄色の一酸化鉛(金密陀=キンミツダ)ができる。温度をさらに上げていくと金密陀は溶けてリサージに変わり、酸化をつづけて鉛丹(四三酸化鉛)になる。