珪酸アルミニウムソーダと硫化ソーダの複塩
Na4Al3Si2O12
1828年合成法に成功。絵の具としては1854〜56年頃より。
製法上交雑物として遊離硫黄分を含む物がある。完全に除去されていればどの色とも混色自由であるが、クローム系、鉛系、銅系の絵の具との混色には注意を要する。
吸油量30%
良質の物は耐久力、被覆力が大きい。
透明性を持つ。
乾燥は余り速くない。
珪酸アルミニウムソーダと硫化ソーダの複塩
Na4Al3Si2O12
1828年合成法に成功。絵の具としては1854〜56年頃より。
製法上交雑物として遊離硫黄分を含む物がある。完全に除去されていればどの色とも混色自由であるが、クローム系、鉛系、銅系の絵の具との混色には注意を要する。
吸油量30%
良質の物は耐久力、被覆力が大きい。
透明性を持つ。
乾燥は余り速くない。
主成分は硅酸鉄を含む粘土質の一種(天然緑土)
Mg(Fe)O・CaO・2SiO+(Mg・Fe)O(Al・Fe)2O3・3Sio2
無機鉱物
水酸化鉄・水酸化マグネシウム・ケイ酸アルミニウム・カリ
良質のものとしてイタリアのVerona(ベローナ)近くモンテバルト地方の物が良いと言われている。
Celadonite, Terre de Verone
色味は中間調の黄緑色〜淡緑灰色。
良質の物はサルビアの葉の色に近い灰緑色。
耐光性、空、酸、アルカリにも安定している。
隠蔽力が弱く透明色。
古典よりヨーロッパ絵画に多く用いられている。
テンペラ画、フレスコ画などに。
今日でも天然の物は手に入るが、多くは人工配合によって作られたものが多い。
透明酸化クローム(ビリジアン)・土性赤色顔料との配合が多い。
天然の物はテンペラ、壁画では下層などにも用いられている。
油彩ではグラシーとして。
蘇芳(すおう)
ロイコ化合物、ヘマトキシン C16H14O6 −> 空気に触れてヘマテイン C16H12O6
ロックウッドの木から抽出する。(メキシコ、中南米、西インド諸島)
生木の内部では黄色、外部の空気に触れて暗褐色になる。
赤色染料、強い光に弱い。
古くは染料、水彩絵具のレーキ、インクとして使われていた。また、生物学用の染色液用に使われている。
画像はWikipediaより
Tab. 69 from Adolphus Ypey, Vervolg ob de Avbeeldingen der artseny-gewassen met derzelver Nederduitsche en Latynsche beschryvingen, Eersde Deel, 1813
published by Kurt Stüber, http://www.biolib.de
油煙・・・炭素+タール
油、樹脂を不完全燃焼して出来た煤(すす)から作る。
炭素分80%〜90%
着色力、隠蔽力、被覆力が大きい
吸油量は大。乾きも遅い。
耐光性、アルカリ性に弱い
生臙脂(しょうえんじ)
ラック色素 ラック酸 C20H14O11
ラックカイガラムシの幼虫がだす樹脂状の分泌物
インド、ビルマ、極東地方に産するCroton ficus類の一部の木の葉に寄生する
成分、色味共にコチニールから採ったカーマイン色素に似る。この色素はややくすみがある赤色。
耐久性がカーマインよりややある。東洋、西洋で古くから染料として使われていた。
茜(あかね)
アリザリン(1.2ジオキシアントラキノン)C12H8O4・・・主成分
パープリン(1.2.4トリハイドロオキシアントラキノン)C14H8O5・・・アリザリンとごく近い成分
アカネソウ(Rubia Tinctrorium)の根から抽出される染料(ギリシャが原産)を体質顔料に吸着されたもの。塊根を発酵させ希硫酸で加水分解し色素を抽出させる。
染め付ける体質により帯紫赤色、ピンク色、赤、紫、帯褐黒色とできる。特に天然のこの茜はパープリン成分を含有しているためオレンジ赤、黄味のある暖かな色調を持ている。
天然有機物レーキの中で最も安定している。透明で鮮やかで暖かな赤紫色。体質のある層の上に被覆した場合堅牢である。色液状の場合、光線により褪色を生じやすい。乾きは遅い。
吸油量100%〜125%
特にシルバーホワイトとの混色や白の上に被覆すると色味が吸収されやすいので注意。
現在、あるメーカーにはまだ天然のものを使用して絵具を作っているが、特に油絵具はほとんど人工合成である。
1868年に合成法が発明され、ナフトール系のアリザリン染料から作られている。
特性は天然のものと似ているが、色味のパープリン成分が無いため、暖かみの無い、冷たい紅紫色である。
吸油量24%〜45%
土性系との混色は不変性を失うので注意が必要。
付記
この物質の一番の興味はアリザリンを含んでいることである。 オレンジから赤の結晶となる。水にはほとんど溶けない。アルコールには容易に溶ける。また、不揮発性油、アルカリ性のものに溶解する。
アルコールや水性での溶解はローズ色になる。エタノールでは黄金黄、アルカリでは紫、濃縮して青になる。しかしこの場合、希釈して紫赤を得られる。
アリザリンとミョウバンとの混合物の沈殿したものから美しいローズ色が得られる。
Luminescents is a Moonshine Group Company の記述より
http://www.luminescents.co.uk/catalog/product_info.php?products_id=1107
獣骨 C+Ca(PO4)2 炭素+灰分(燐酸石灰)
炭素Cは15%〜20%で着色力の小さい黒。燐酸石灰が赤みのある色味にしている。
脂肪分、膠質分を除去して焼成して作る。
吸油量90%。
被覆力はあるが着色力は小さい。
耐光性、アルカリ性。
乾きの遅い黒。
不透明色との混色はチョーキングを生じやすい。
透明色と混ぜるとその色味は不透明にする。
ブラジル蘇芳(すおう)
生木の内部・・・ブラジリン C16H14O5(明るい黄色)
空気に触れると・・・ブラジレイン C16H12O5(濃赤色)
赤色染料
Caesalpinia braziliensis、ペルナンブコ、マメ科各種の木(ジャマイカ、ブラジル、セイロン)を細かく砕いた木片を水に入れて煮沸し抽出し、液を真空中で濃縮して作る。
強い光線に弱い。
古く中性では染色、絵画、インク類に用いられていたらしい。また、茜(マダー)以上よく使われていたらしい。
炭化物系(植物性)・・・青みを持った黒
植物性炭素 C + SiO(炭素と灰分、一酸化鉄、硅酸、炭酸カリ)
桃の実の種を蒸し焼きにし炭化した物
炭素Cが50%〜70%含有し、これが着色成分であるが、灰分に含まれている無機質分が他の黒と異なった青みのある透明性を持つ黒である。
耐光、アルカリ、乾燥は早い
顔料の歴史は古く鉛白と共に使われたらしい。ヨーロッパで云われている銀灰色調は鉛白と植物性黒である。
樹脂分を多く含む木材やブナ材を燃やした油煙から作る。
成分はアスファルト(タール質)に近い。
黄褐色〜黒褐色味の水性メデューム用の彩料として使われる。
耐久性に欠け、強い光線では褪色しやすい。
14世紀頃の書籍類の挿絵につかわれた。
レンブラントは水彩、デッサン用に使っている。